和牛図鑑

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銘柄は品種ではなく、ルールの束

銘柄牛肉は、地域ごとの定義です。品種、性別、月齢、肥育した場所、そして格付の下限を決めています。2021年版のハンドブックには377銘柄が載っており、1999年版の139銘柄から増えました。[Handbook 2021]

以下のルールは2021年3月刊のハンドブックの記載によります。ハンドブックは都道府県や生産者団体へのアンケートをまとめたもので、すべての銘柄を網羅してはいません。ルールは変わることがあります。最新の内容は各銘柄の団体に確認してください。

5銘柄の比較(2021年版ハンドブック)

銘柄対象の牛月齢・格付その他のルール・備考
神戸ビーフ兵庫県有の種雄牛だけを交配した但馬牛。兵庫県内の指定登録生産者が繁殖・肥育する。未経産の雌牛か去勢牛。28カ月齢以上。歩留等級AまたはBで、脂肪交雑BMS No.6以上。枝肉重量は499.9kg以下。兵庫県内の食肉センターでと畜。1頭ごとに証明書を発行。但馬牛とともに地理的表示(GI)に登録。[Handbook 2021]
松阪牛黒毛和種の未経産の雌牛。—2002年8月から個体識別管理システムを運用し、個体識別番号で36項目の情報を検索できる。「特産松阪牛」は兵庫県産の子牛を900日以上肥育したもの。[Handbook 2021]
近江牛黒毛和種。滋賀県内で肥育。—GI登録(第56号)。アジアの輸出先を挙げている。[Handbook 2021]
米沢牛黒毛和種の未経産の雌牛。32カ月齢以上。置賜地域(3市5町)で肥育。年間約2,500頭。2017年3月3日にGI登録。[Handbook 2021]
飛騨牛岐阜県産の黒毛和種。平均約28〜30カ月齢。歩留AまたはB、肉質3等級以上。年間約1万頭。13の国・地域に輸出。[Handbook 2021]

「—」は、ハンドブックの該当箇所を私たちが確認できていないという意味です。ルールがないという意味ではありません。

神戸ビーフの定義は変わってきた

神戸ビーフの名が生まれたのは1860年代です。1859年に横浜が開港すると、外国人居留者向けに神戸から船で送られた牛の肉が評判になりました。それは大麦などで太らせた但馬の雌牛でした。戦前は純粋な但馬牛の雌に限って使われた呼び名が、戦後は去勢牛も含むようになりました。[Enoki 2008]

1983年に神戸肉流通推進協議会が設立され、正式な定義を定めました。1988年には枝肉の格付規格が改正されます。榎(2008年)によれば、当時の神戸肉の条件はBMS No.7以上でした。2021年版ハンドブックでは、BMS No.6以上と枝肉499.9kg以下になっています。[Enoki 2008] [Handbook 2021]

ハンドブックによると、2017〜2019年度に但馬牛として認定された牛肉のうち、およそ82〜87%が神戸ビーフの条件も満たしていました。この数字は印刷された表から読み取ったものです。[Handbook 2021]

有名な名前の由来

松阪:江戸から明治にかけて、但馬生まれの雌牛は紀州(和歌山)で育てられ、役牛として伊勢平野の農家に売られていました。売る前に肥育するようになり、のちにそれが意図的に行われるようになって、松阪の肥育スタイルが生まれました。2000年代の松阪牛の雌牛のうち、兵庫県から来たものは少数派だったことを榎は示しています。[Enoki 2008]

近江(旧称:江州牛):近江商人は牛を横浜まで追って行き、「神戸牛」として売っていました。1893年に牛疫が発生して生きた牛の輸送ができなくなり、枝肉が八幡駅から出荷されるようになります。これで東京の業者は、「神戸牛」の多くが実は滋賀産だったと知りました。1967年に「江州」が「豪州」と紛らわしいとして近江牛に改称されています。戦前の素牛の大半は但馬牛でした。[Enoki 2008]

飛騨・前沢・宮城:いずれも但馬生まれの種雄牛によって評判を築きました。血統を参照してください。[Enoki 2008]

銘柄と味

マーク・シャツカーは、神戸・松阪・群馬などの銘柄牛を食べ比べました。彼の記述では、風味の差はわずかで、感じた違いはやわらかさと多汁性でした。松阪のほうが神戸より甘い気がしたとも書いていますが、科学的な根拠があるとは言っていません。官能評価の結果ではなく、一人の旅行者の印象です。[Schatzker]

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